皮革素材について
皮革は大別するとスエード(suede)と表革(銀面)に分けられます。
スエード(suede)
スエードは表面の毛を刈った後、肉側の面を研磨して、起毛したものです。主に羊革、牛革、豚革の3種類があります。ヌバック(銀面を起毛させてもの)と同様、スエードは、飲み物や雨、また水に濡れたものに接触すると、すぐシミになります。しかし、撥水加工が有効ですので、スエードには是非撥水加工をおすすめします。
羊革スエード(sheepskin suede)
羊、又は子羊(ラム)の皮から出来たスエードは、軽くて、柔らかいベルベットのような毛羽が特徴です。シープスキンは一番デリケートですが、クリーニングや仕上げがしやすく、きれいになる度合いがとても高い素材です。
牛革のスエード(cowhide suede)
成牛から作るこの素材は、たいていの場合、硬くて重く毛羽たちは良くありません。丈夫で長持ちしますが、汚れ過ぎるとクリーニングしても、汚れがすっきり落ちません。
豚革のスエード(cowhide suede)
豚の革から作られるスエードは、硬くてやや重く、毛羽が短いのが特徴です。表面に毛穴が点々とあり、耐久力はありますが、スレに弱いのが短所。また安価な場合が多いので、堅牢度の低い染料が使用されている事があります。
表革(smooth leather)
表革は、表面の毛が生えている面で、毛を取り去った後、特殊な顔料系のラッカーペイントで仕上げられており、滑らかさと光沢があります。構造は二層になっており、ペイント部分の上に保護剤(ツヤ出し)でカバーされています。羊革、牛革、豚革、山羊(ヤギ)の順で市場に出ています。
牛革
約12kg以上ある、厚くて重い成牛の革をハイド(hide)、軽くて薄い子牛の革をスキンと呼びます。丈夫なのが特徴。
- カーフスキン→生後6ヶ月以内の子牛の革で、きめ細かく柔らかい最上質の牛革。
- キップスキン→生後6ヶ月〜2年の中牛の革、カーフより厚く重い。
- カウ ハイド→生後2年のメス牛の革、その他ステアハイド、ブルハイドなどより厚く、重い革があります。
羊革
ヤンピンとも呼ばれ、薄く軽く柔らかいが、破れやすい。しかし、仕上げはし易くアイロンで伸びます。
豚革
軽量で耐久性があるが、安価なので、粗悪品もあります。
山羊革
豚より硬く、表面は滑らか。液切れが悪いものもあります。
クアーサバージュ(cuir savage)ヌメ革
表革で、表面を多少染色し、そこを磨くか、その上に特殊な透明なコーティングを施してあり、革の表情が出ている物を言い、正面はすべすべしています。しかし、汚れやすく、水シミも付きやすいのが短所。染色がないものは、最初は肌色で、徐々に飴色になり、汚れると黒くなってしまいます。
ネイキッドレザー(naked leather)
色を付けただけで、表面加工をしていない革の事。材質は柔らかく、割と簡単に磨り減ってしまいます。濡れたものに接触するとすぐにシミになります。
アンティークレザーフィニッシュ(antique leather finish)
表革とヌメ革に古い感じを出す為にベージュ色のベースカラーに茶や黒のシャドーなどの色付けをしてある革の事です。
その他の革
コードバン
馬の尻あるいは背中の革
カンガルー
薄くて耐久性がある。きめ細かいが、傷つきやすい。
革を長くご利用できるためのアドバイス
革には脂分と栄養分が必要ですが、それらは、時間と共に蒸発してしまいます。その結果、硬くなったり、もろくなったりします。革を良い状態で長持ちさせるには、年に一度は、クリーニングと同時に革に必要な脂分と栄養分を補給することが必要です。
革の鞣し工程
「鞣し」の第一意義的意味は、皮を腐らなくする事です。肉を取った後に発生する「皮」を腐らないように加工し、製品にできる状態になると、「皮」から「革」に漢字も変わります。鞣し工程の概略は次のようなものです。
- 食肉産業から出た皮は、塩漬けにされて、鞣し工場へ運ばれます。
- 動物の種類別に大別され、大きさ・重さで選別され、さらに取り扱い易い大きさにカットされます。
- 塩漬けの際の塩分を水で洗い流し、化学処理された水に通した所で、余分な脂肪や肉のかけらを削ぎ落とします。
- 様々な化学物質を通すことで、腐らなくする処理をします。
- 革を均一な厚さにするために機械で削り、さらに別の化学物質を通して鞣しを強化します。
- ベースとなる染料を付け、しなやかさを作る為に動物の高レベルの脂肪酸にオイルを加えたものを塗っていきます。
- 次に過剰な高レベルの脂肪酸とオイルが取り除かれ、何回もローラーにかけられます。
- 鉄板の上に糊のようなペーストをスプレーし、その上にローラーで伸ばされた皮を置き、オーブンの中にいれて水分を飛ばします。それを剥がして一枚一枚積み上げていきます。
- 次にコーティングマシーンで保護膜となるものが、コーティングされ、さらにツヤを出した面を保護するためにラッカーで仕上げられ、2つの熱いローラーの間を通過させます。
- スエードは、肉に接していた面をもみほぐして、毛羽を作る機械にかけられます。
革の特性と革の自然現象
革の特性もクリーニングする上で重要な要素となります。完成された革の状態は、その動物が、まだ生きている時期に密接な関係があります。自然界の生活で傷を負ったり、怪我をしたりして、ダメージを受けると、完成された革に跡が残る場合があります。
-
- 傷
- 腹部のシワ
- 血管の跡
- 薄くて弱い革
- 黒ずんだシミ
- リラクゼーションシュリンケージ(relaxation shrinkage)
- 型押しの革
動物が怪我をして、それが治ると、傷として残ってしまいます。またダニ、シラミ、うじ虫などに喰われて、傷になる場合があります。これは、小さな楕円状の跡になります。その他には、毛を刈り取る際に誤って皮まで傷をつけると、ギザギザの長い傷になります。茨をひっかけた傷は、細かくて長い跡に、また焼印を押す時のアイロンの焦げが、傷になる場合もあります。問題は、原皮を作る時に、これらの傷をパテのようなもので埋め、色をかけて仕上げてしまうことです。そうして出来た製品を知らずに洗うと、パテが流れ傷が現れてきます。また、傷があるとスエードになりません。毛羽の中でその部分だけよけた状態になります。さらに傷の組織は、染料も受付ませんから、染めが不完全です。クリーニングすると、弱い部分の色が落ち、さらにめだってきます。
どんな動物でも、呼吸をしたり、食べ物を食べたり、出産したりするので、腹部の皮は、伸び縮みするアコーディオンのような機能を持っています。つまり、シワができます。軽い革は強度が弱い場合もあります。このシワは、よく着ジワと間違われがちですが、プレスしても絶対に伸びません。
牛革スエードにみられる現象です。分厚い牛革の肉に近い方の部分をとったものに、たまに枝状の血管の跡が出る場合があります。
薄くて、弱い革もあります。やはり腹部と脇腹が多いようです。革で一番良い部分は、背骨を中心とした部分で、厚みもあり、丈夫です。弱い革は、1枚のはぎとしては長く、毛羽が粗悪で薄く、ぺらぺらした状態です。また、厚みが一定しておらず、きめと毛羽が一定しておりません。小さな穴が開いている場合は要注意です。クリーニングする前に泥汚れや油汚れが長期間ついていると、革を弱くして、洗うと裂ける原因になります。
これは、ネイキッドレザーという染色の次のラッカー仕上げをしていない、染めただけの革に多く見られます。単なるシミのように思ってクリーニングしても自然現象ですから、当然落ちません。(補色では目立たくできます。)また、革の縫い目を超えて、隣の革までシミになっているケースは、製品になってからついたシミで、購入時にチェックをすることが大事です。この種のシミはクレンジング作業のみでのお預かりの場合は全体がきれいになってかえって目立ってしまうことがあります。その場合は補色をおすすめします。
まれなケースですが、適切な方法で革をクリーニングしたにもかかわらず、元のサイズに戻らないほど縮んでしまうことがございます。この原因は鞣し工程にあります。前述の「鞣し工程」の中でちょっと触れましたが、皮をプレートの上に乗せて乾燥させる方法をとらず、皮を粗い網にのせ、出来るだけ引っ張りながら、端をクリップで止めて乾燥させる方法をとると、大きな面積の革ができてしまします。しかし、この無理に大きくされた革は、ある一定のリズム(力)を与えると、元の大きさに戻る性質があります。つまり、革がリラックスすると、元の大きさに戻る(客観的に見ると縮む)事を、リラクゼーションシュリンケージといいます。例えばこのような革で縫製された製品を履いたり、持ってある一定のリズムで圧力を与えたり、クリーニング中にかかるリズミカルな力などが作用して、裏地がでるほど本体の革の部分が縮む場合があります。検品時に注意してはいますが、まれにこのような性質を持った革があります。
表革の表面に、型押し方式で模様やシワを作ってあるものは、型押しが取れて伸びてしまう状態になることがあります。まして、クリーニングすると伸びて感じが変化するものがございます。主に革の衣類(革ジャンや革のパンツ)です。
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